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農地法4条
架空事例1 二世帯住宅にするため、家の敷地を増やしたい

事情説明:息子はUターンして、家族を連れて地元に帰ってきたんです。私も年を取り、繁忙期に農作業を手伝ってもらってとても助けています。本当は一緒に居住して後継者としてもっと農業のことを携わってほしいですが、現在家の敷地は145㎡(延べ面積56.2㎡)しかありません。次世代の農業に繋がるために二世代住宅に増築して、自宅の居住スペースを拡張したく、転用申請を考えたんです。
当事例は農業を営む者が次世代へ事業継するため、既存自宅を二世帯住宅に増築し、居住用スペースを拡大するケースです。
現状のポイントをおさらいしましよう
- 転用したい土地は200㎡の畑
- 土地は市街化調整区域にあり、農業振興地域ではありません
- 転用後は自用のために住宅を増築する
- 現在の自宅は適法に建てられたもの、敷地は145㎡(延べ面積56.2㎡)
- 周辺はほぼ自家農地
上記ポイントを押えて農地法4条の許可申請をを作成してみました。
農地法4条許可申請書
添付書類
規定のものと申請書各項目を事実証明できるもの
- 土地の登録事項証明書
- 土地の公図、案内図
- 申請者の住民票
- 農地基本台帳
- 二世代の家族構成図
- 工事契約書(見積書)
- 資金調達について証明
- 土地利用計画図
- 建物の平面図、立面図
- 理由書(転用目的の必要性、緊急性、やむを得ないところ)
- 同意書、承諾書(転用地に権利を有する者がいる場合の同意、承諾)
- その他
申請先
中予(東予、南予)地方局農林水産振興部農業振興課(まずは農業委員会にご相談を)
愛媛県は平成20年4月より、農地転用許可に係る権限が地方局に委譲されました。現状、農地転用許可に係る審査業務は、各地方局農林水産振興部農業振興課で行っております。
他法令:建築基準法第43条第2項第1号に基づく認定申請
今回の転用地は市街化調整区域にある。都市計画法の許可に引っかかる可能性が高いです。では、現庁所在地の松山市に農地があると設定し、松山市の政令を見てみましょう。
市街化調整区域における建築行為の申請フロー
当事例は43条建築許可の申請が必要と分かります。
実際愛媛県は40市町のうち、11市6町で14の都市計画区域が決定されている。その中線引き都市計画区域は松山広域と今治広域のみです。その他の市町村は非線引き都市計画区域として相対的に緩い開発基準とされています。小規模なら開発許可・建築許可が要らないケースもよくある。
提出書類
申請先
松山市役所 建築指導課
架空事例2 田んぼに太陽光パネルを設置したい(青地)

事情説明:去年1月に交通事故に巻き込まれて、腰を痛みました。半年ほど療養生活をし、多少は回復しましたが、完全に元には戻りません。年のことも考えて持っている農地を減らしたいと農業委員会に申し出ました。委員さんも借りてくれる人を半年間かけて探してくれましたが、立地の悪さか見つかりませんでした。そのまま遊休農地になっても勿体ないので、太陽光パネルを設置したいと考えております。今回転用したい農地(550㎡)は非線引き区域の農業振興地域にあり、10年ほど前に土地改良事業の恩恵を受けたこともある。10年間ずっとコメの耕作を続けてきました。しかし、田んぼの立地はやや悪く、高台の端っこになり、また形も整っていません。耕作機械が入りにくい所もあります。今後はこの農地での耕作は難しいと考え、再生可能エネルギーに転用することを希望します。
ポイントをおさらいしましよう
- 転用したい農地は550㎡の田んぼ
- 農地は非線引き区域の農業振興地域にある
- 10年前に土地改良の利益を受けた
- 転用後は太陽光パネルを設置する
- 所有権はそのまま、その他の賃貸借権利も発生しません
農地法4条許可申請書
添付書類
- 土地の登録事項証明書
- 土地の公図、案内図
- 農振除外の通知書
- 土地改良区の意見書
- 土地利用計画図
- パネルの仕様書
- 架台の構造図
- 経済産業省からの認定通知書⇒経済産業省関係ページ
- 電力会社との連携契約
- 資金調達について証明
- 同意書、承諾書(転用地に権利を有する者がいる場合の同意、承諾)
- その他
申請先
中予(東予、南予)地方局農林水産振興部農業振興課(まずは農業委員会にご相談を)
土地改良区の手続き
土地改良事業からその土地が利益を受けたことがあって、転用することで農地ではなくなるので、今後は受益地から外してもらう手続きのことです。所属している土地改良地区が分からなければ、農業委員会に聞いてみてください。
受益地から外してもらうに費用がかかる場合が多いです。手数料以外も、決済金の決済。決済金は水路の整備、農地のメンテナンスなどに使われている費用を持っている農地の面積に応じて従量発生します。支払いを澄まして、除外手続きがうまくいけば「意見書」という書類をくれます。こちらの書類はそのあとの農振除外と農地転用許可に必要な書類なので、早めに手続きを進めて入手すべきでしょう。
農振除外
農用地区域内の農地を転用するためには、市町村が農用地利用計画の変更により当該農地を農地用区域から除外した後に、転用の許可を受けることが必要です。
この除外手続きの申請書類は「農用地利用計画変更申出書」という申出書になります。添付書類は農地転用許可とほぼ同じ、申出先は市町村長宛てになります。市町村が申出を受付してから農業委員会定例会にて意見聴取(現地調査)⇒変更案公告・縦覧⇒異議申出⇒県知事に農用地利用計画変更協議(現地調査)⇒知事同意⇒決定案公告・縦覧⇒転用申請 フロー通り、非常に時間がかかる作業になります。市町村にもよるが、受付は年に数回限り、決まった月しか受付しませんので、全てがうまくいって、申請期間は6ヵ月から1年間はかかると見込んでほうがいいでしょう。
除外できる条件をすべて満たす
- 代わりに転用できる土地がないこと
- 周囲の農地への影響が少ないこと
- まとまった農地(10ha以上)の1画ではないこと
- 周辺で農業を営む者の効率的な農地利用を妨げないこと
- 農業用水路の流れを妨げないこと
- 土地改良事業など、農業生産力を高める事業が終わってから8年以上経っていること
- 具体的な計画があり、確実に転用をすること
審査が通ったら「農業振興地域整備計画変更に係る連絡事項について」という通知書が来ます。このタイミングで転用許可の申請準備に入っていいでしょう。
太陽光発電設備の設置・管理条例
市町村によっては内容が違うが、宇和島市は許可申請が必要です。条例の概要及び手引きのリングを貼ります。
条例の概要 https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/life/104569_410173_misc.pdf
許可申請手引き https://www.city.uwajima.ehime.jp/uploaded/life/104569_410174_misc.pdf
申請期間
およそ60日間
農地法5条
架空事例1 隣地の農地を購入して、倉庫及び駐車所にする

事情説明:隣地の農地(500㎡)は耕作の方が亡くなられて、休耕地になって5年目になりました。去年、相続した息子さんと合意して土地の売買契約を結びました。息子さんは東京在住で愛媛地元に戻って農業をするのは無理があって、休耕地の届出書を出したと聞きました。今後の農地の管理に戸惑っているみたいです。うちは隣で長年駐車スペースがないことに苦悩しています。農機具を置くまともな倉庫もなく、簡易なテントにとりあえず入れていますが、湿気で錆なども心配です。農地売買契約が実行可能なら、両家長年の悩みを解決できて、休耕地も有効利用できると思います。
この事例は非線引き区域にある農地、農振地域でもないので、他法令の手続きはありませんでした。
転用後に工事が予定されているので、工事の進行情報報告書(中間報告)。工事完了後は完了報告書の提出を忘れずに行ってください。
添付書類
添付書類は4条の事例①とほぼ同じです。土地売買なので、売買契約書も加えることです。
申請先
中予(東予、南予)地方局農林水産振興部農業振興課(まずは農業委員会にご相談を)
地目変更登記
農地法4,5条は土地の用途変更を伴うので、最終的には法務局にて地目変更登記が必要です。
申請者個人でもできる作業ですが、建物を建てる場合は図面等が求められます。図面の作成に自信がない人や、時間に余裕がない人は土地家屋調査士に依頼するとよいでしょう。
